起業10年、1人が10年続けて見えたコト – 2018年 4月1日

ランサーズ10周年パーティー写真

2008年4月1日に起業をブログで報告して、今日で10年となりました。

会社を10年続けること自体にあまり意味はなく、長く続けるのがすごいという時代でもないのですが、1人の人間が10年起業という同じことをし続けて来て感じたことはもしかしたら起業だけじゃなく同じことを続ける人の何かの参考になればとブログを書いてみます。

10年前の起業理由

当時のブログを読み返してみると心の底から日本初のサービスを生み出したいという純粋な夢見た気持ちが蘇ります。そのサービスはつまりランサーズなのですが当時思っていた「インターネットで全ての個人が自分のスキルで報酬を得られる世界を作りたい」気持ちは不思議と今も1ミリも全く気持ちが変わりません。

ただ当時から今を想像できていたかでいうと、全く想像できていませんでした。10年続くことを想像できていないというよりも10年続くかなんていう問いすら思い浮かばない、ただただサービスを立ち上げるという思いしか頭の中にはありませんでした。

2人で初めて200人近くの仲間が増えることも・0人のユーザーさんが100万人を超えることも・0円の売り上げが数十億円になることも・900万円の資本金が23億円になることも、すべて全く想像もしていないし目標にすらしていませんでした。

むしろ2人だけでサービスを立ち上げて、全部仕組み化して2人でできる範囲でやりたい世界が実現すれば良いとすら思っていたのでした。

10年の80%は憂鬱

10年間を振り返ろうとノートに起こったことを書いていたのですが、本当に辛く苦しく吐き気がして憂鬱なコトしか起こっておらず1年分くらいで書くのをやめました(笑)

「個人と法人の預貯金を足して残り数十万円になったり」「会社に行くと全員逃げて1人しかいなかったり」「サーバーが落ちて1週間サービス停止してしまい会社に泊まり込みクレームの嵐の中でしたDNS設定失敗してドメインにも繋がらなくなったり」「何とか採用したメンバーが実は数ヶ月何もしていなかったり」「あることないことを噂されたり」「サービスリリースしても一切使われなかったり」

1年分でこれくらいありますが当然会社が少し大きくなり仲間が増え拡大すればするだけ困難の数は増えて困難の質も濃くなっていきます。最初の1年の困難なんて今思うと全く困難ではなく良い思い出に感じるくらいに(笑)

そして一緒の年に起業した仲間は困難によって起業からは去っていきました。年を追うごとに1人2人と。

やりたい世界と現実世界のすり合わせ

10年を振り返ると憂鬱な困難も色々とありますが、今思うとやって来たのは理想世界と現実世界のギャップのすり合わせでした。

新しいサービスで中々受け入れてもらえなければ現実世界で一番近いものに変換してサービス提供をしてみる。

秋好という個人の価値観からは到底受け入れられないような価値観も一度飲み込んで相手の立場に憑依して理解しようと努力し続ける。

自分には全く訳がわからない理由で否定されても、むしろ否定が正しいというスタンスから自分を見つめ直してみる。

絶対に正しい何かがあるのではなく、自分の正しさなんて無いと決めて素直に柔軟に、結果の正しさにだけ向き合い続けた10年でした。

諦めるという言葉が消えていた

困難ばかり起こる起業・自分を否定し続ける日々は本当に辛く夜眠れない日々も多く・悔しすぎて握りしめた手から血がにじみ出るという漫画のようなことが起こったり、自分でもなぜこんなに辛いのにやり続けられるんだろうと思うことすらありますが、ただ一つ言えるのは、そんな困難を一瞬で消し去るくらいのワクワクする夢がある。

「ランサーズがあったからあの辛い状況でも仕事を得られて生活できた」「ランサーズがあったからフリーランスになり自分らしく幸せに暮らせている」「ランサーズで生活しているから仕様を変えないでほしい」「ランサーズは俺の人生なんだ社長」

そう言ってもらえるのが嬉しすぎて、社会に大きなインパクトを与えるサービスにしたくて、想いと現実のユーザーさんの言葉を支えに10年やってこれました。いつの間にか自分の心の辞書には「諦める」という選択肢はありませんでした。

集まってくれる仲間

そうやって諦めずに踏ん張っていると不思議なもので多くの仲間が集ってくれました。

ランサーズのビジョンを信じて一緒に同じ熱量でサービスに向き合ってくれる仲間。ランサーズを使っていただけるランサーさん・クライアントさん。ランサーズのビジョンを信じて応援してくれる株主。ランサーズが多くの人に利用いただけるようになったのは私ではなく集まってくれた社員を中心とした多くの仲間があってのものだと本当に思います。10年間、本当にありがとうございます。

日本初のサービスを作りたいという思いだけしかなかった26才のエンジニアが起業してここまでやってこれたのは、ビジョンのもとに集まってくれたランサーさん・クライアントさん・ランサーズメンバーのみんな・卒業したみんな・株主の皆さん・経営者として一緒に悩み苦しんだ経営者仲間・同じ業界を一緒に作って切磋琢磨する業界の皆さま・支えてくれた家族や友達のみんな、全ての関係者の方々のおかげです。心からお礼申し上げます。

長かったようで短かった10年、このような最高のワクワクをくれた10年前の自分にも感謝したいと思います。勇気をもって起業してくれてありがとう。そして10年後の自分にも改めて感謝されるように、ここからの10年は今までの10年を良い意味でリセットしてゼロベースで「世界初のサービス」を作っていきたいと思っています。今後も何卒よろしくお願いいたします。