時間がないベンチャーでも読んだ方が良い本やサイト – 2016年 11月25日

ランサーズを起業し8年が経ちましたが多くの本を読み漁り、課題解決のヒントをもらったり、正解のない意思決定で思い悩んだ末のあと一歩を踏み出す勇気をもらったり多くの本に助けられました。

振り返ると経営のフェーズによって読んでいる本の種類も全然違うし、未だに何度も何度も読み返す本もあれば、そのタイミングでは参考になったけど1度だけ読んだだけのものまで様々。

自分の血肉になり意思決定に手垢をつけてくれたような「この本やサイトがなかったら今がない」というものだけを厳選して経営のフェーズ毎にまとめてみました。フェーズによっては古い本もありますが、今でもエッセンスは色褪せてないものを集めてみました。

起業する前

起業する前というのは、そもそも起業すべきなのか、起業するということはどういうものなのかを知るために色々な本を読みました。起業家の体験談、起業というものを体系的に扱っているもの。その中で特に背中を押された本を紹介。

はじめの一歩を踏み出そう

タイトルを見ると起業をしよう!という内容に思いますが実際は一人の職人さんが好きを仕事にしたいと始めてみたお店をどうやって”経営”していくかという起業後がメイン。

“起業する”であったり”人を採用する”であったり”経営”というものを肌感覚で理解させてくれた本。

起業前に一番読みましたが、起業後に組織が拡大したタイミングなどにどう向き合うべきなのか等、起業後も結構読み返しました一冊。フェーズによって読み込む章が異なる味のある本。

成功はゴミ箱の中に

あのマクドナルドを創業したレイクロックさんの本。

1セールスパーソンだったクロックさんがマクドナルド兄弟と会うことで大きく人生が変わるという創業ストーリー。

どこに成功の種が落ちているかわからない、つまり考え続けているとひらめく。そして自分が感じたビジョンやこのプロダクトは絶対に人々に必要だと思ったら突き抜けること・強い思いがあればこそ起業も継続するということを感じた本。

渋谷で働く社長の告白

ご存知サイバーエージェント社長の藤田さんの起業前後から上場後の苦悩をリアルに描いた自伝。

起業するとはどういうことなのか、華々しく見えたサイバーさんも起業当初はハチャメチャで、イメージと実態のギャップを120%全力で積み上げていくベンチャー熱みたいなところを強烈に教えられた。起業するということがつまり現実でいうとどういうことなのかをリアルに感じられた本。

成功者の告白

ベンチャーを起業する前のモヤモヤ、起業後の苦悩、ある程度立ち上がってから社内外で起こるトラブルなど成功者に起こることを抽象化して0から10まで描かれた良書。

起業前に起業後を体験でき、かつ起業後も面白いようにこの本に描かれているようなことが社内で起こっていく。何度も読み返した1冊。その後実際に著者の神田さんに会えることは想像もできなかった。

起業後の立ち上げフェーズ

ランサーズを起業してサービスローンチしたものの、当初は全く上手くいきませんでした。この当時は非常にストレスフルだし、どうやったらサービスを成長させられるのかにだけ時間を使っていたタイミング。この停滞から抜け出すために事業からマインドに関する本まで色々と答えを探したフェーズでした。

謎の会社、世界を変える

ランサーズと同じマッチングプラットフォームを運営するエニグモさんの本。起業前後の内容も参考になるが、特にバイマを立ち上げて多くのユーザーに使われるまでに実際に経営者が何をしたのかを何度も何度も読み返した。

どうやって誰も知らないサービスを成長させるのかという視点で読みまくった1冊。僕自身がエンジニアだったので彼らの博報堂仕込みの空中戦などとても参考になった。

市場を創る – バザールからネット取引まで

今でこそクラウドソーシングも多少メジャーになりましたが、当時は日本でクラウドソーシングを運営するのはランサーズだけでした。サービスが思ったほど使われず、市場を創るとはどういうことなのか、マーケットプレイスを運営するとはどういうことなのかを深く学べた一冊。アフリカの物々交換や江戸時代の新潟の先物取引、ニューヨーク証券取引所まで多くの市場を分析されておりマーケットプレイスを運営するベンチャーの人には参考になる。

ザ・コピーライティング

サービスを成長させるためには一言で伝える・伝わることの大切だと感じて読み漁った中の一冊。この新しいサービスをなんといってプレスリリースするのか、広告を出すのか、LPのキャッチコピーに使うのかなど考え抜いた。

この本からコピーライティングの原理を徹底的に勉強しました。本自体は非常に古いですが、フォーマット化されたコピーの作り方・人間心理など未だに僕のベースになっている本

幸福優位7つの法則

サービスを立ち上げるこのフェーズは正解が見えずにとにかく精神的にきつかった。上手く行かなすぎて、社長なのに会社にいくのも嫌になるレベルでした。

そんなときに、成功するからマインドが良いのではなく、マインドセットの自己認識により大きなことがなせるという、統計に基づいた論理的なマインドと成功を因数分解したこの本に非常に救われました。

多くの経営者がポジティブ思考であることの理由がわかったと同時に冷静にサービスに誠実に向き合えた一冊。

組織成長フェーズ

ある程度サービスが立ち上がり始めて、採用を加速する。30人を超えたあたりから、今までと同じやり方でやっていると上手く行かなくなる。マネージャーとは何か、経営とは何か、組織とは何かを模索したフェーズでした。

人を動かす

みなさんご存知だろう名書。

人が生きていく中で身につけるべき人間関係の原則をビジネスのみならずに体型的に書かれている。

組織のマネジメントのみならず、誰かではなく、己(自分)自身の自己変革が重要であり、組織が悪い・人が悪いではなく、自分が変わることこそ「人とともに何かを成し遂げるため」には最重要と教えてくれた。

年商5億円の壁のやぶりかた

ものすごく噛み砕いて、組織の成長痛とそれに対する処方箋を解説している本。

創業5年、売上5億円、社員50人で多くの会社の成長は止まる。なぜならそれまでは社長一人の活躍で乗り越えられるが、そこからは組織として成長が必要。言葉ではわかるが体感できない”組織としての成長”をわかりやすく解説している。経営幹部の選び方は本当に参考になった。

不恰好経営

こちらもみなさんご存知、DeNAの南場さんの本。

華やかに見えるDeNAの生々しい経営劇。起業や事業成長、組織についてなど色々と書かれているが、その時々の南場さんの感情が素直に表現されており、成功する社長でも悩み・苦しむということ、外からは綺麗な意思決定に見えるものも人間らしさの中で生み出される、生の経営を強く感じられまいした。事業と組織を大きく成長させるための覚悟を学んだ

すごい会議

組織が大きくなるとコミュニケーション量が減り、方向性の不一致やお互いの感情への理解も減っていく。自己認識と他者認識の差が組織スピードを遅くする。

それらに対して短期間でどのようにチームビルディングをしていくのかを会議の進め方を例に解説された本。

すごい会議形式で会議をするかどうかではなく、本音を引き出し、本質的な課題を設定し、課題解決に対して臆せずリーダーシップを持って意志決定して推進することの重要性を学んだ本。

資金調達フェーズ

サービスが立ち上げり組織の土台もでき、さらなる成長を目指そうというときに外部資本による資金調達を検討していました。一度も資金調達をしたことのなかった中でテクニカルなファイナンスだけでなく、外部資本を受け入れるとは?という本質含めて参考にした本です。

起業のファイナンス

何度も何度も読み返した本。あまり出回らないエクイティでの資金調達を具体的な事例を元に背景を含めて体型的に学べる良書。

タグアロング(先買権)などの専門用語とは何かは解説している本はあれど、なぜそれがあり、起業家や投資家にとってはどういう意味があるかを解説していた本はなく、外部資本での資金調達を検討している起業家には必読の本。

ストーリーとしての競争戦略

投資家に自社の成長戦略を示す必要があり、しっかりとして中長期戦略を資料に落としたことがなかったタイミングでの一冊で、投資家向けの説明のためというよりも、結果的に本質的な自社の成長戦略を考え直すのに役立った本。

戦略というと小難しいが、生きる戦略とはなんなのか、そして他社の打ち手がどのようなストーリーの上で構築されているかなど参考になった。

愚直に積め!

ベンチャーキャピタルである筆者がどのような目線で起業家を見て、どのようなマインドを起業家に期待しているかを隠さずに生の声として書いてある本。

今でも読み返すとできていない部分もあり胸が苦しくなるが、厳しい素直な意見は刺さる。付箋の数も100個以上と何度も読み返した。ベンチャーキャピタルから出資を受けるということはどういうことかを身に染みて感じられた一冊。

ベンチャーキャピタルから出資を受けなくても、成長企業の経営者を目指すなら是非とも読むことをお勧めします。

社長失格

有名な本ですが、時代の寵児だった筆者が出資や融資などを受けた後に事業がうまくいかなく社長を退任し倒産してしまうハイパーネット社長の自伝。

うまく行く成功ストーリーの本は多くあれど、実際にどのように世間が盛り上げ、実際の事業が乖離して行くのか。何が経営者の油断や意思決定の失敗を産むのかを追体験できる。

すべてのフェーズ

具体的にどのフェーズに参考になるということではありませんが、常に参考にして今でも読み返す本

ビジョナリーカンパニー2

何度も何度も読み返しては初心にかえり、目線をあげて、なんのために起業したのかを思い出させてくれる一冊。海外などに行くときに読み返すことが多い。

有名な「誰をバスに乗せるどこに行くのか」は本当に考えさせられる。社会に大きな価値提供を残す会社・起業家・組織とはどういうものかを統計的にも分析して解説している本。ベンチャー経営者なら是非とも読むべき一冊!!!

イノベーションのジレンマ

大企業が陥りがちなイノベーションのジレンマをわかりやすく解説した本。

ベンチャーには関係ないと思われがちだが、ベンチャーのビジネスも成長すれば大企業は競合にも提携先にもなりうる。彼らに起こりうる構造を知り、自社サービスをさらに成長させるためにも参考になる。

ベンチャーとはいえ、小さな大企業やイノベーションのジレンマは発生する。そういう意味でも定期的に読み返して反省したい本。

ユーザー中心ウェブビジネス戦略

プロダクトは自分が欲しいサービス・要件のみを詰め込んでは意味がなく、自社の目的とユーザーの目的を一致させたユーザー中心の設計をしないとサービスは使われないことをわかりやすく示してくれた一冊。

単純な理想論だけではなく、実務としても使える本で、具体的にどうやってユーザー中心のウェブビジネス戦略を考えるかも書かれており、何度も何度も読み返している良書。

総務省 ベンチャー経営の手引き

本ではありませんが、起業した時から何度も読み返しているベンチャー経営マニュアル。

総務省さんがまとめたPDFですが、具体的な経営実務へのアドバイスが書かれており、資金調達前後くらいまでは本当に参考になった。一番好きなセンテンスは以下。

“ベンチャーの成功・失敗の鍵は社長が握っている。夢があり、前向きのチャレンジだから誰でもがやってみればいい、というほど甘くない。「事業意欲が非常に強く、絶対成功させたいと思える人」、「向上心が非常に強く、足りないところを真剣に補おうとする人」、「社長がすべてだと理解し、全力で責任を全うしようとする、自分に厳しい人」の3要件を満たさなければ、社長には向かない。ただし、年齢、性別、学歴、単なる長期の勤務経験より、事業意欲、執念、商売センス、向上心、実行力、実際何を成し遂げたかという実績の方がはるかに重要である” (出展:総務省 ベンチャー経営の手引き)

まとめ

このほかにも多くの本によって助けられましたが、今起業したら・今資金調達を初めてしたらこれらとは違う新しい本と出会うんだろうなとワクワクしたり。未体験にぶつかると人からアドバイスを受けたり・セミナーに行ってみたりと色々とありますが、本から得られる体験は変え難く、今後も多くの素敵な本と出会いたいなと感じました。本エントリーが誰かの参考になれば幸いです。

さらなる次のフェーズに成長させる仲間を募集

ランサーズの今のフェーズは第二創業期。今もそのフェーズにあった色々な本に助けられていますが、僕らは「テクノロジーによる個のエンパワーメント」というミッションをさらに推進させ、ランサーズのみならずに多くの個をエンパワーメントする新規事業を作って行くプロダクトマネージャー・エンジニア・事業開発・経営幹部・インターンなどのメンバーを大募集しています!ランサーズのオフィスちょっとみてみたいな!今読んでいる本を聞きたいな!でも全然大丈夫ですので、お気軽にご連絡ください!

カテゴリー:経営