グロースハックチームを作って1ヶ月運用してわかったこと – 2013年 11月18日

昨年から今年にかけて、僕の周りでも非常に話題になったグロースハック。

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数ヶ月前からランサーズでもグロースハック的なことを色々とやっていましたが、2013年10月からは、思い切って、既存のチームから明確に分離して、「グロースハックチーム」なるものを立ち上げてみました。

1ヶ月半くらいグロースハックチームを運営して、色々と気づいたことや成果をまとめてみました。

グロスハックチーム誕生秘話

・小さい機能改善の優先度が下がりがち

サービスの改善や機能追加などをするためには、開発リソースが必要です。開発リソースは「優先度」という魔法の言葉によって開発の順番が決められて行きます。順番が決められるので、小さな機能改善、やっても良くなるかどうかわからないもの、効果測定しにくい開発は、どうしても優先度が下げられ、リリースされない、ということが起こることが多くなっていました。

・自主的な機能改善コンテストをやってみた

これではだめだ、ということで、エンジニアチームが自主的に、そういった小さな機能追加もやっていこうとなり、毎週コンテスト方式で、納期や予定を決めずに、既存の開発とはまったく別のプロジェクトとして、小さな機能改善の数(チケットの数)を競うコンテストをやってみました。

・機能改善スピードは上がるが継続性に欠ける

最初の頃は、楽しさもあり、気分転換にもなることから、機能改善スピードは上がって行き、各種KPIへの良い変化も起こすことができるようになってきましたが、あくまでも自主的なプロジェクトのため、週によってアウトプット量もバラバラになり、逆に既存の開発側のスピードに影響がでるという負の側面も起こってきました。

専属のグロースハックチームの立ち上げ

・機能改善を仕組み化するグロースハックチームをつくってみた

であれば、役割分担を明確にして、既存サービスの開発を行うチームから、グロスハック的なことをやる人を専属で分担して、意図してメリットを引き出そうと考えられたのがグロースハックチームです。最初は、エンジニアチームから反対が大きかったのですが、1ヶ月だけやってみようということで、説得して、ある種強引に立ち上げました(笑)

・社長直轄でチームとルールにこだわった

チームは、専属エンジニア1名と兼任デザイナーと兼任ディレクター(僕)の3名でスタートしました。僕が入った理由は、会社として重要施策だと思ってやっているよ!というメッセージと、ベンチャーでゼロイチをやる時は、社長が入った方がうまくいく確率があがるからです。また、今までと同じ方法で運用しては、そこまで大きな変化を生み出せないと思い、思い切って、以下3つの基本ルールで運用することにしました。

・[ルール1] 専属エンジニアは、グロースハック以外の開発はしない

既存の開発を同時にすると、うまくいかないのは過去の経験から明らかだったので、1名の専属エンジニアはグロースハックチームで開発する機能以外は開発しないというルールにしました。このルールは非常に機能していて、スピードを出して開発できている理由の大きな一つだと思っています。

・[ルール2] 1-2日で完了するものしか開発しない

兎に角スピードをもって開発するグロースハックチームとして、開発工数が最大でも2日で終了するもののみを開発するというルールにしています。数を出すことに注力することで、既存の開発との明確な差別化もできています。大きな開発が必要な場合も、1-2日でアウトプットできるくらいに分解してから開発します。

・[ルール3] KPIを追わない。優先度をつけない。

グロースハックチームでは、KPIを追わないことにしています。このルールがあるおかげで、どの機能を開発する?という悩みが発生しません。ホワイトボードで、開発のウィッシュリストを管理していますが、そのボードの前で悩む必要がありません。グロースハックチームでは、ボードにはってあるものを基本的にやっていくのみ。しかも、1-2日で終わるものしかないので、基本的に張ってあるものは「全部やる」となり、開発優先度をつけるという悩みがなくなり、結果、議論の必要がなくなり、非常にスピードがあがります。(とはいえ、別のKPI担当は数字を追うし、どれが効果があるか見ています。)

1ヶ月運用してみた感想と成果

・1ヶ月で100を超える機能リリースをすることができた

実際に1.5ヶ月くらいで、グロースハックチームのみで、大小合わせて100を超えるリリースを達成することが出来ました。具体的な内容としては、導線の追加や変更でクリック数が220%向上したり、あるKPIが150%増加したりするなどの成果を得ることができました。基本的に改善というのは、やってみないとわからないことが多いので、小さな機能改善をスピードをもって実施できたことは大きな成果だと思っています。

・モチベーションを高くやってくれたメンバー

専属のエンジニアは、当初はいきなり僕から任命されて、戸惑いもあったと思いますが、日々追加される新しい機能と明確なルール、そして、結果それが成果に結ぶついて行くことを目の当たりにして、高いモチベーションで担当してくれています。また、最大1-2日で終わる開発しかしないので、毎日「やりきった感」があるのも大きいのかなと思っています。

・グロースハックの弊害もあるなと思っています

ランサーズというサービスは、まだまだこれからのサービスであり、大きなパラダイムシフトを起こさないといけないし、小さなゼロイチを沢山起こして行かないといけないと思っています。そんな中で、グロースハックは基本的に今あるものを良くするという発想なので、そもそも「今あるもの」が必要だし、1を1.5とか2にするために実施するので、パラダイムシフトはそこからは当然生まれません。

・ご利用は計画的に

サービスを立ち上げます!とか立ち上げました!というチームには、不要な部門だと思いますが、僕らみたいな課題をもっていて、細かく機能改善することがサービスの価値として重要なフェーズであれば、ぜひとも試してみて、フィードバック頂けると嬉しいです!

ということで

ランサーズでは、まだまだやりたいことが沢山あり、一緒に「時間と場所にとらわれない新しい働き方」を作っていくグロースハックチームのメンバーを募集しています!ランサーズのオフィスちょっとみてみたいな!でも全然大丈夫ですので、お気軽にご連絡ください!

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