意外と使われていない「個人用trac」活用のすすめ – 2007年 12月22日

tracをご存知ですか?tracは主にシステム開発系プロジェクトにおいて、バグ管理・バージョン管理・ドキュメント共有に使われる超便利ツールです。これがないと開発なんて出来ないよ!という開発者も多いはず。

そんなtracですが、個人用や家庭用でもカナリ使えるツールなんです。開発をしなくても、「脳をすっきりさせたり」「自分タスクを整理したり」「アイデアを貯めたり」「旅行計画を家族と共有したり」、日常生活という自分プロジェクトの管理ツールとして活用することができます。

tracとは

前述の通り、tracは主にシステム開発で使うプロジェクト管理ツールで、無償ソフトとして配布されているので、誰でも自由にダウンロードして使うことができます。

主に利用できる機能が4つあって

■ wiki

誰でもいつでも編集できるwiki機能があります。個人で使うときはメモ帳代わりにしたり、計画を書いたりします。

■ チケット

tracでは、やるべきタスクを「チケット」として管理します。例えば、今週中にインクを買う必要があれば、チケットとして「インクを買う」と登録します。その時にそのチケットに対して「優先度」「種類」などが選択できます。

■ ロードマップ

チケットをまとめて1つのロードマップにすることができます。基本的にはプロジェクト毎にロードマップを作成して、そこにチケットを追加していきます。

■ ソース管理

tracはsubversionというバージョン管理ソフトと連携していて、ブラウザ上でバージョン管理されたソースコードを閲覧することができます。便利。

個人でもつかえる

一昔前までは、trac構築は結構大変な作業でした。python入れて、subversion入れて、DB入れて、apache入れて、、、。しかし、最近では一発でtracをインストールできるツールが沢山でているので心配はありません。

windowsなら「All-In-One-Trac」や「Trac月」を導入すれば、すぐにtracを使うことができます。linux系などであれば、パッケージ管理(yumなど)ですぐに導入できるでしょう。それ以外の場合も「trac インストール」などで検索すればインストール方法は沢山でてくるので、ここでは割愛させて頂きます。

tracを個人用に導入すると良いこと

ここからが本題ですが、個人でtracを使っていて、良いこと良かったことをまとめてみます。

■ やるべきタスク(TODO)を「見える化」できる

あれもやらないとなぁ、これもやらないとなぁと考えているものはすべて「チケット化」します。「やるべき」「やったほうがいい」「やってもいい」「できればやる」どんなレベルでも優先度をかえてtracに登録しておきます。そうすることで脳をすっきりさせ、やることはtracに書かれているので、あとは「やるべきタスクを順番にこなしていくのみ」という状態にできます。

例:「MixClipsの2ちゃんねる機能追加」「プリンタのインク(ブラック)購入」「お正月の予定整理」「○○氏にお礼メールだす」「▼▼のブログ読む」

■ アイデア帳になる。

アイデア帳を持っている人も多いと思いますが、私はアイデアの最終登録地をtracにしています。家でアイデアを思いついたらtracに書きますし、外でもネットができる環境であれば、tracに追加します。その他環境では、携帯メールで家のPCにメールして、そこからtracのチケットにします。他のタスクと混ざるとわかりにくいので、「アイデア」というロードマップを作って、そこにアイデアチケットを整理します。アイデアをより具体的に整理したい場合はwikiを使って詳細にまとめていきます。

例:「○○サービスの日本語版」「▼▼ができるサービス」

■ 友人や家族と共有できる

tracにはユーザー管理機能があって、wikiだけ見える人、チケットにも登録できる人など権限を追加できます。家族と今度の旅行計画をwikiで共有してもいいし、友人や家族同士で相手にやって欲しい事をとりあえずチケットにしておくと、誰にいま何をお願いしている、されているというのも「見える化」でき、お互いの意識共有で出来ます。友人と使う場合は外部から見える必要があるので、レンタルサーバーか自宅サーバーに設置する必要があります。

例:「○○のソース下さい」「▼▼今度かっといて」「□□を教えて」

■ ブラウザでソースが見える

あの時作ったあのプログラムが見たいけど、外出先なので見えないとか、個人で作ったソースが会社でも使えそうなんていうときに、自分用tracがあれば、簡単にソースを閲覧することができます。また、例えソースが手元にあっても、eclipse立ち上げて・・とか結構めんどくさい場合もありますが、tracであれば、ブラウザさえあれば、ソースを見ることができます。

■ 個人の有限リソース管理

個人の時間というのは24時間という有限のリソースに支配されています。自分の脳みそだけでは、忘れたりして整理しきれません。上にあげたようなtracの機能を使うことで、記憶部分をtracに押し付けることができ、あとは優先度によって取捨選択をすればよい状態になります。

wikiとtracの自動リンクや、検索機能、コメント機能など他にも便利な機能がありますが別の機会に。

個人で使うコツ

個人的にtracを使っていて、いくつか便利だったtipsを並べています。

■ ロードマップはある程度分割する

個人のタスクすべてをいれていくので、ロードマップは大雑把でもよいので分けておいたほうが見やすいです。私ですと、まずウェブサービス単位のロードマップがあります。例えば、「ブログ」「MixClips」・・・といった具合です。そこにそのサービス単位でやるべきこと、追加したい機能、見つかった障害などを追加していっています。

他にも「勉強」「購入」などのロードマップ作って勉強したいことや、欲しいものを買える買えないは別にして(笑)整理しています。入りきらないチケットは「その他」に入れています。私は15ロードマップくらいありますが、サービス開発で使わないとすると5個くらいに分けられれば十分だと思います。

■ 今月の作業ロードマップを作る

細かくロードマップをわけても、全部を見るのは結構大変です。そこで「12月の作業」というロードマップを作ります。他のロードマップに登録されたチケットで、今月やろうと思っているものを12月の作業に移動します。そうすると基本的には「12月の作業」ロードマップしか見なくてよくなります。終わったチケットから閉じていって、他にもできそうだったら「12月の作業」に追加します。1月になれば、12月ロードマップを終了させて、1月ロードマップを作ります。残りのチケットも1月に移動させます。見る場所を少なくするのは重要です。

■ 外部公開はセキュアに

友達と共有したり、会社などの外部から見えるようにする場合は、通常のウェブサイト公開以上にセキュアにして下さい。 「Basic認証」「IPアドレス制限」は最低限するようにして下さい。「クライアント証明書認証」「HTTPSでの通信」までできれば十分だと思います。

まとめ

tracは少しとっつきにくい面もありますが、個人的には「個人の有限である時間というリソース管理」ができる一番最適なツールだと思います。カレンダー機能に弱い部分がありますが、ほぼ私の要求を満たしてくれます。是非個人レベルでも活用してみて下さい。そして、他にも活用術があれば、是非教えていただければ幸いです。

カテゴリー:ライフハック