この本は、ユーザー視点でのウェブサイト戦略を提唱している。その上で「サイト戦略⇒目的⇒目標値⇒ターゲットユーザー⇒ユーザー行動シナリオ構築」という一連のプロセスを考え・検証して、それから「要件定義⇒サイト設計⇒デザイン」と落とし込むための経験的なノウハウがぎっしりとつまっている。
特に一般的に軽視されている「ユーザー行動シナリオ策定」や「ユーザビリティテスト」の重要性を説いており、その方法は勿論、具体的なシナリオ例や実施例までが書かれており類似書籍とは一線を画している。
・サイト戦略を明確化してユーザー中心のウェブサイトを構築することで問い合わせが10倍に
・サイトという点での理解をせず、ユーザーがサイトに来る前から来た後までの行動を把握し、サイト設計をする例
など内容は多いが、実用的だ。
■サイト目的策定の項
サイトの目的を明確化する。複数ある場合は優先順位をつけ
サイト設計の指標とする。制約が加わるように感じられるが、「なんでもできるサイト」は
「なにもできないサイト」と同義になりやすい。なんでもありは
明確なゴールがないため、中途半端で何も実現できない。
このあたりは自分への戒めにしたい。
一般的なユーザビリティ的な本は多くあれど、1000名を超える顧客相手に商売をしている著者(株式会社ビービットさん)だからかける実践的な内容がつぶさにちりばめられている。
デザイナーが読むための本というわけではなく、ウェブを商売にしている人ならばすべてに参考になる良書である。特にウェブビジネスやウェブサービスの構築において、上位レイヤーを考える必要がある人には、とくにおすすめである。
正直これを読むと、競合企業などにこの本を教えたくないと思うはず。