ユーザーの声を聞くのは難しい – 2006年 9月4日

オライリー氏の提唱するWeb2.0 7つの原則の1つに『ソフトウェア・リリースサイクルの終焉』という原則がある。

これはいわゆる『ベータサービスリリース』のことを意味する。セキュリティ等の最低限の安全性とそのサービスの基盤部分だけを作って、未完成ではあるが、あとはユーザーの声を反映しながら、拡張していきましょうということだ。

これらの原則は今やネットサービス界の原則のように言われているが、意外や意外に、ユーザーの声を聞きながらサービスを拡張するというのは実はそんなに簡単ではないように思える。


なにがそんなに難しいかというと、それは、ユーザーの声なんていうのは非常に絶対量が少ないものだからだ。

個人的にはいくつもウェブサイトを立ち上げたことはあるが、「ベータサービス」などと偉そうに銘打って始めたサービスはMixclipsが初めてである。

そんなMixclipsも最初の方は、ブログのコメント欄やメール等で感想や拡張希望もあったが、最近ではその数も少なくなってきた。サービスの規模が小さいからというのも、理由の一つだろうが、ユーザーはベータサービスだからといって、大事な時間を割いてまでコメントはしてくれない。

はてなMixi等の大規模サービスで、ユーザー参加色の強いものであれば、逆にユーザーの声が多すぎてどれを拾い上げてどれを採用するのかは非常に難しい作業であるが、そもそもユーザーの絶対数が少ないサービスでは、ユーザーの声を聞くどころか、拾い上げるのも一苦労なのである。

ではどうすれば、小規模サービスでもユーザーの声を聞くことができるのだろうか。色々なサービスで取られている方法を並べてみる。

1.開発者ブログを書く

これが一番ポピュラーな方法ではなかろうか。直接コメントを書いて頂くこともできるし、間接的にトラックバックをうってくれる人もいるだろう。

2.ソーシャルブックマーク等の間接的なコメントを探る

はてなブックマーク等のコメント欄は、まさにユーザーの声が凝縮されている。声を聞く機会は、ブックマークされる時の1回しかないが、本音を聞けてよい。

3.自ら収集する

上記2つはどれも、ある程度の人気や規模がないと、やはり声の絶対量は少ない。そうなると、積極的に自分から収集するしかない。テクノラティ等のブログ検索で自分のサイト名やURLでRSS登録しておいて、定期的に収集したり、サイト上にさりげなくアンケートフォームを設置したりして、なんとかユーザーの声を拾いたい。

ベータサービスでリリースするのは、簡単であるが、上記の例のように開発者ブログを作ったりと、いかにユーザーの声を拾い上げられるかという点を考慮し、そういった仕組みを作った上でベータ公開すれば、さらに効果が高いサイクルを期待できるのではないかと思う。

ユーザーの声を拾い上げるのにも何かが必要である。

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