逆Web2.0?ウェブ化されない業界その2 – 2006年 4月24日

前回のエントリー(逆Web2.0?ウェブ化されない業界その1)で、まだインターネット化されていない業界・業種の中でも「ファッション業界」に的を絞って紹介した。

前回のエントリーで「その1」と書いてから非常に多くの日数が経ってしまったが、「その2」で何を書こうか頭が全然整理できていない。このままだといつまで経っても書けそうにないので、とりあえず吐き出して、意見を伺いながら、修正していきたい。

ちなみに、前回の「ファッション業界」に関しては、各々の方から

「ファッション業界なんてどうやってウェブ化するんだ」
「雑誌が強い媒体はファッションに限らずウェブ化されにくい」
「すでにウェブ化されているんじゃないですか」

など多くのご意見を頂いた。ありがとうございます。

視点によって、色々な意見はあると思うが、私はまだファッション業界は本当の意味のウェブ化はされていないと思っているが、先日からテレビCMでも流れているように、ヤフーとゼイヴェルがはじめた「ファッションウォーカー」のような新しい兆しも出てきている。


さて、今回は前回紹介できなかった「政治」「宗教」「医療」を考えたい。

「ファッション」が社会の中で、サブ的な位置にあるのに対して、この3つは社会基盤の根源にあると言っても良い。政治に興味はない、無宗教だ、病気はしない、とは言っても社会一般から考えるとどれも基盤インフラとなりうる。これらがウェブ化されない理由や今後ウェブ化される予定はあるのだろうか?

1.政治

この3つの中でも、政治に関しては、ウェブベースでかなり浸透している。
例えば、各政党は独自のウェブサイトを持っているし、議員個人も公式ウェブサイトを持っている人が多い。選挙前ともなると、個人ブログで活発な議論がされ、投票の参考とされる場合も多いだろう。

しかし、一番肝心の選挙中の政治利用と、ネットを介したインターネット投票はまだまだウェブ化には程遠い。まず選挙中の政治利用だが、選挙中は各候補のウェブページの更新はストップするし、各ニュースサイトなども政治関連の取り扱いは非常に慎重になるケースが多い。おもて向きは公職選挙法が理由にされるが、本当の理由は機会の不平等によるところが多い。

A候補陣営はSEOのプロ。ウェブデザインもプロ。対してB候補陣営はまったくの素人。真っ黒の背景の怪しいウェブページを作るのが精一杯という場合だ。ただし、選挙ポスターにもデザインセンスはいるだろうし、リアルSEOともいえる、効率よい選挙区での露出の仕方などを考えると、リアルでも機会の不平等がおこりうる可能性はある。既得権益層や年配層などの政治をしきる層に新しいものへのアレルギーがある。

つまるところ、ウェブへの理解が進めば(時間が経てば)、このような規制は無くなる方向へ向かうと考えられる。

次にインターネット投票に関しては、技術的にもセキュリティ的にも非常に難しい。これらのシステム構築や広報・指導・教育などを考えると国家予算規模の莫大な費用が予想される。実現したとしても、投票率の向上は未知数だ。このような未知数の投票率アップのために莫大な費用をかけて行うとは思えないので、当面は実現されないと考えられる。電子投票レベルならすでに実験されているが。

2.宗教

日本というミクロで見ると、宗教はあまり生活に密着していないが、世界的には宗教は生活インフラである。また、新興宗教などに限って言えば、非常に多くの宗教サイトが乱立している現状がある。

ただ、仏教・キリスト教・イスラム教・ヒンズー教という4大宗教に関していえば、「ウェブを介して信仰する」「ウェブでお布施」「ウェブで教えを請う」などはあまり聞かない。

これは宗教というものの基礎に、コミュニケーションというものがあるからかもしれない。リアルでのコミュニケーションを通じて、信仰する。つながる。祈る。が基本の宗教において、そもそもウェブを介すこと事態に意味はないと思うし、今後もウェブ化の必要も見出せない。

# 違った意味で、ネット内での宗教(思想)、ネットから生まれた宗教的な考え方、ネット宗教(思想?)なるものが拡大しているらしい。

3.医療

最後は医療。これも、簡単なノウハウレベルの医療サイトなどは多い。海外から薬を輸入して販売するページもあるが、公式的なものは少ない。

原因の一つに、医療ほど、パーソナライズすべき情報ない。「たこ焼きの作り方」は万人共通かも知れないが、医療に関していえば、それぞれの人によって、提供すべき情報や対処すべき事象は大きく違ってくる事が上げられる。

また、生命に大きく関係する分野において、「責任」という壁ものしかかる。

ただし、遠隔治療や遠隔診断といった試みも拡大されてきている。技術的な障壁さえ除かれれば、遠隔地や離島などにいながら、治療が受けられる可能性はあるし、ユビキタス化によって、今後はこれらの方向に必ず向かうと思う。

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駆け足で、私見を述べさせていただいた。

現在のインターネットは普及期であり、トライ&エラーが繰り返され、ウェブ化される業界、ウェブ化を試みたがウェブには適さない業界などが出てくるだろう。

ただし、現状でもかなりのレイヤーレベルでウェブ化が浸透している。そんな中で、上記のような生活の根本がインターネット化されていないのは、実に不思議であったが、その裏には理由がある。

その理由は技術レベルの問題なのか、精神レベルの問題なのか、文化的な問題なのか、今後の長い動きに注目していきたい。

カテゴリー:コラム