Web2.0時代の対価の形 – 2005年 12月13日

Gather

アメリカに「Gather」というサイトがある。

誰もが簡単に、色々な種類の記事を投稿して、その記事に対してタグ付けができるサイトだ。

一見すると、Blogや掲示板と似ている印象を受けるが、まったくの別物である。


Gatherには非常に多くのカテゴリがあり、「ビジネス」「芸術」「生活」「音楽」「コンピュータ」・・・多種多な種類が存在する。

そのカテゴリに対して、登録すれば誰でも記事を投稿することができるのである。日本でいうと、

「誰でも投稿できるAll About Japan」

といったかんじでしょうか。

これだけを聞くと、「よくあるサイト」レベルなのですが、知れば知るほど、見ればみるほど、まったくの異質な面白いサイトです。人気のヒミツは以下の通り。

1.顔が見えるサイト
ユーザはGatherで会員登録をすると、マイページ(個人ページ)が与えられます。マイページでは自分の顔写真を登録する必要があり、それゆえか、誰かが匿名で好き勝手に投稿する掲示板や、好き勝手にものが言えるブログなどの情報よりも、非常に質が高い記事を提供できています。

2.報酬制
Gatherでは、面白い記事やためになる記事に対しては、ユーザからの評価によりポイントが与えられます。それにより、記事のランクも変わってきます。それ自体は面白い仕組みですが、あくまでも「名誉」的なものでしかありません。Gatherでは、一歩踏み込んで、広告収入の○%は記事作者へ還元するという制度があり、きっちりと対価を支払う仕組みもバランスよくできています。成果を高めるには、露出を高める必要がある。露出を高めるには評価を上げる必要がある。評価を高めるには価値ある記事を書く必要がある。これも、質の高い記事を提供できる理由の一つではないでしょうか。

3.タグ化とそれに参加するユーザ
一般的にタグ付けなんてことをするユーザは、ネットリテラシーが高い人が多いです。それゆえ、タグ付けされた情報は「Ajax」とか「Web2.0」といった風にテクノロジー系の話題が多くなりがちです。しかし、Gatherのタグ情報を見ていると「Love」とか「Politics」といった一般的な言葉が多い事に気づくと思います。つまり、テクノロジーギークな人以外も参加していることに大きな意味があるように思えます。

ボランティアで成り立つ側面が多かったネットにも、「良いものには対価を支払う」という当たり前の流れが今後浸透していけば、それはそれで面白い。

一般ユーザの参加、対価を支払うシステム、顔が見えるサイト。こんなサイトの日本語版を作ったら面白そうですね。

カテゴリー:Webサービス