ウェブサイトM&Aサービスの実態 – 2006年 9月7日


インターネットが一般化するにあたって、色々な面白いサービスが出てきているが、その中であまり知られていなくて、かつ要注目なのが「ウェブサイトM&Aサービス」だ。

M&Aというと、企業買収を彷彿とさせるが、ウェブサイトM&Aサービスとは、名前の通りにWebサイトをそのまま売ったり・買ったりするのを仲介してくれるマッチングサービスのことである。こういったサービスが最近非常に増えてきた。

概要と背景

今ほどネットが注目される以前にも、Webサイトを買ったり・売ったりというのは頻繁に行われてきた。しかし市場規模がそれほど大きくなく、ニッチだったため、それらは当事者同士で行われていた。

大きなところだと、ライブドアによる掲示板したらばの買収などは、ウェブサイトのM&Aの例として、ご存知の方も多いのではないだろうか。これほど大きな例ではなくとも、有望な個人サイトを見つけてまるごと買収し広告を掲載して、元を取るというビジネスは昔(といっても2・3年前)から行われていた。

ウェブへのビジネスシフトが行われる中で、これらウェブサイトM&Aというスキームへのニーズの高まりが、それ専門のマッチングを行うサービスの最近の頻繁な出現の原因になっているのは間違いがない。

売買フロー

まず、基本的にサイトM&Aサイトを介した売買のフローをまとめてみる。


<ウェブサイトM&Aフロー図>

買いたい! 売りたい
サイト登録(URLは匿名が多い) 購入者登録
審査してサイトへ掲載 登録サイトの閲覧
交渉(URLの公開)
契約

こんな感じである。そして利用実態は実は下記のようなものだ。

利用者層

利用者のほとんどが「買い手側」だという。そして、やはりコマースサイトなどを運営する法人の買い手が多い。またそれゆえに、人気があるのはコマースサイト関連サイトなのだという。

サイト売買メリット

買い手としては、「時間をお金で買う。」これにつきる。サイトを0から構築する手間や集客するコストを考えると、選択肢の一つとして買収というのがでてくるのもうなずける。

売り手としては、異業種ビジネスへの転換を考えていたり、本業を持っている人が、副業で営んでいたが手に負えなくなったので売却するといった例が多いようだ。

価格決定

マッチング会社を通すメリットは、価格の妥当性のノウハウを持っていることだ。しかし、残念ながらまだまだ始まったばかりの業界であり、明確な価格決定ロジックはない。

基本的には、現時点のそのサイトの利益×2・3年が目安とのことだ。「月間ネットショップ&アフィリ」という記事によると、Yahoo!Japan!をサイトM&Aするとしたら「1兆2000億円」楽天ならば「5000億円」という値段がつくらしい。

所感

サイトをM&Aするという市場はまだまだ始まったばかりではあるが、これからぐんぐんと成長していくことは間違いがない。こういった流れが加速していって、サイトへの価値のつけ方というものが一般化していけば、サイトを担保にしてお金を借りるということもありえる話だ。(日本政策銀行がサイトを担保にお金を貸した事例はすでにある。

あなたのサイトも意外と!?大きく化けるかもしれない。どうせサイトを閉じるくらいなら、登録して買い手を捜してみてはいかがだろうか。単純にお金がもらえるという意外にも、自分が頑張って構築したサービスが、熱心な人に引き取ってもらえるのは違う意味でも価値があることだ。(そういう理由で売却する人も多いようだ。)

アメリカのシリコンバレーあたりでは、サービスを大きくしてYahooなどに売却するのがベンチャーの王道になっているが、そこまで大きくしなくとも、こういったサービスを通してサイトを売却するスキームがあれば、成功か失敗かが大きくわかれることがなく、「ある程度」の成功という違う抜け道ができるかもしれない。

参考サイト
サイトM&A
サイトキャッチャー

カテゴリー:コラム